こんにちは、鬼喜王子です。
早いもので、僕がマジックを始めて今年が10年目である。
基本的に飽きっぽい僕が、よく10年も続けたなぁ、と自分でも感心する。
今回は、10年前に僕がマジックをやるようになったきっかけをお話ししようと思う。
お客様に聞かれたときは「大学のサークルの勧誘にあったから」と答えているが、ことはそう簡単な理由ではない。
僕がまだ鬼喜王子となるより遥かな昔、二十歳前後の若者がかかるある種の病気にかかっていた。自分の居場所が無い、何のために生きているのかという空虚感。そして今思うと笑ってしまうくらい何でも無いことなのだが、2年間浪人していたとう劣等感が、「人とは何か違うことをやってやる」という力みを生んでいた。
そしてそんなときにマジックに出会ったのだ。しかも今までマジックに全く縁がなかった僕が、1日に3回も生のマジックを体験してしまったのだ。
1回目がサークルの勧誘にて。その後大学の5年間(留年したため)マジックと麻雀を通して深く付き合い、今もって親しくさせて頂いている先輩のY氏にカードマジックの名作「トライアンフ」を見せてもらった。
2回目がその帰りに偶然立ち寄った、今は無き東急東横店マジックコーナーにて。現在は池袋東武マジックコーナーのディーラーをされている藤巻大輔氏が、金属の輪がつながる「チャイナリング」をしているのを目撃してしまった。
そして3回目は、その晩たまたまラジオを聞いていたら、ALEXというマジシャンがラジオを通じてマジックをやっていた。のちにそれは「メンタルマジック」というものだと知ることになるのだが、その当時はただただ不思議だった。
こうして運命的な出会いをはたしたマジックをいざやってみると、今までの空虚感、不満が嘘のように満たされていった。そしてその後も、運命的と思えるほどのラッキーな出会いを繰り返していって今に至るのだ。
(例えば、マジックを始めて2ヶ月後、僕が初めて生で演技を見たプロマジシャンは、現在の日本のクロースアップマジックの第一人者、前田知洋氏だった!)
こんにちは、鬼喜王子です。
先日の日記でも触れたスペインの至宝・タマリッツ氏が、うさぎやでショーをやってくれました。ちなみにこの人は、英国のエリザベス女王から勲章を受けたのですが、授賞式で居並ぶ参加者がタキシードでびしっと決めている中、ただ一人ジーパンによれよれのシャツで出席し、しかもお咎めがなかったというほどの人です。
そんな人が、我々のためにショーをやってくれただけでもチョー感動なのに、なんとその後、十二時にご来店頂き私・鬼喜王子のショーを見てもらい、しかも親切にアドバイスを頂きました。
ヨーロッパではどこの国でもVIP待遇を受けるほどの大マジシャンが、自分のような異国の駆け出しマジシャンのくだらない質問にも、ひとつひとつ丁寧に答えて頂きました。
タマリッツ氏と話してみると、その騒がしい演技からは想像もつかないほど知性にあふれた人で、しかも話題はマジックだけに留まらず非常に含蓄があるものでした。
3日後、東京駅まで見送りに行きました。最後まで親切でチャーミングな方でした。去り際に彼が行った言葉「次はマドリードで会えるといいね」という言葉が現実になるよう、彼に再び会って成長した姿を見せられるよう、日々精進して行こうと決意を新たにしました。
新箱根クロースアップ祭にて、タマリッツ氏と
こんにちは、鬼喜王子です。
4/9、10の二日間開催された「第13回新箱根クロースアップ祭」に参加してきました。まだ興奮冷めやらぬままこれを書いています。
このコンベンションは一日目はコンテストとゲストマジシャンのショー、二日目はゲストマジシャンのレクチャーとなっていたのですが、鬼喜は仕事があったため、1日目のショーの最後からの参加となってしまいました。
コンテストにでて顔を広めたGeorgeや虎時狼に比べて、何もできなかった僕はちょっと不満でしたが、今年のゲストのタマリッツのレクチャーを受けたら、そんな気持ちは吹っ飛んでしまいました。
ウラのウラまで計算し尽くされた演技、確固たる理論、そして不思議すぎる現象。何よりもマジックに対する限りない愛情が伝わって来て、レクチャーが終わった後は感動で涙をこらえなければいけないほどでした。
それに比べて僕は本当に精進が足りない。人をうらやましがっている暇はない。ものすごくやる気がでてきました。
タマリッツ氏とこの機会を与えてくれたマジックランドさんに感謝します。
そして10日に十二時に来れなかったお客様、申し訳ございませんでした。そのかわりこれからパワーアップしていく鬼喜王子をお楽しみに!
こんにちは、鬼喜王子です。
「目にも止まらぬ早業」という言葉がありますが、マジックで「早業」と思われているもののほとんどは早業ではありません。見ている人の心理的な隙を利用してそのように見せかけているだけなのですが、それでも一部の見た目が鮮やかなマジックの中には、本当に早業を使っていることもあります。人間の感覚・知覚の限界を超えた早さでテクニックを使っているので不思議なことが起きているような錯覚が起きてしまうのです。
たいていの場合、僕たちがやっているマジックはその知覚の限界を下回ることはないのですが、先日見ている人の知覚がテクニックのスピードを上回ってしまうという珍しい経験をしてしまいました。
O氏主催の花見は、毎年4月第一土曜に開催され、普通のサラリーマン、芸人、スポーツ選手、遊び人、大学の助教授等、雑多な人間が集まってきます。
僕は毎回この席でマジックを披露しているのですが、どんなに酒が入っていようと、またどんなに同じことをやろうと、タネがばれない自信がありました。
ところが今年ある一人の人間が、「目にも止まらぬ早業」のタネを見破ってしまったのです。
なぜならその人には「目に止まっていた」からなのです。異常な動体視力の良さ。
聞いてみると、先日ボクシングの東洋東太平洋チャンピオンになったばかりだという現役バリバリのプロボクサー。
こんなこともあるんですね。