マジック界のインテリ、鬼喜王子です。
マジックには、それをやっている人間を狂わせる何かがあると思う。
権力を持った人間が権力に酔って自分を見失って行くように、突然カネを持った人間が人格が変わってしまうように、マジックという力を持った人間は、歪んでしまいやすいものなのだと思う。
マジックというのは勿論、タネも仕掛けもあるものなのだが、力を持つという…では本物の魔法と変わりないからだ。
ヨガの行者は、修行の過程でいわゆる「超能力」を身につけるらしいが、大切なのはその力に酔わないこと、他のものごと同様、なんでもないもののひとつとして受け入れることなのだそうだ。
残念ながら、僕はマジックの力に酔い、堕ちてしまった人間を何人も見て来た。暗黒フォースの力に魅せられ、巨大な悪となったダース=ベイダーとは違い、つまらない人間となってどこかに消えて行った。
また一流のマジシャンにも何人かあったが、例外なくいい人たちばかりだ。
たぶん彼らは、力の誘惑に打ち勝ってきた、本当の強さを持った人間なのだからだろう。