こんにちは、「ミスター・エンパワー」鬼喜王子です。
「天は二物を与えず」という言葉があるが、仮に二つの才能を持っていたとしても、その両方を活かしきることはとても難しい。
マジシャンは、実際の演技が得意な「パフォーマータイプ」とネタを創作するのに優れた「クリエイタータイプ」に分けることが出来る。世界一の興行成績を上げているDavid Copperfieldは典型的な前者、「Floating Rose」等世界中のマジシャンが愛用しているネタを多く作り出しているKevin Jamesは後者のタイプである。実力は超一流。Copperfieldのクリエイトした作品もあるし、Kevinがのパフォーマンスも素晴らしいが、やはりそれぞれが得意とする才能には及ばない。
僕が知る限り、マジックの世界では、この両方の才能を持っている人はいても、その両方で超一流(ここでは世間一般に認知される程の意味)、という人間はほとんど存在しない。
僕は典型的なパフォーマータイプの人間なのだが、今度コンテストに出る関係で、自分で新ネタを考えなければならず、今四苦八苦している最中だ。
とまあ、こんなことを考えていたのだが、先日、プロ野球・ヤクルトスワローズの古田敦也選手が、来期「プレイング・マネージャー(選手兼監督)」をやってもよい、との発言をした。
スポーツの世界にも「名選手、必ずしも名監督ならず」という言葉がある。それでも福岡ソフトバンクホークスの王監督のようにその言葉を覆す人もいるのだが、同時に両方の才能を使うというのは、また別格の難しさがあると思うのだ。
それでもプロ野球の歴史には「名プレイング・マネージャー」ともいうべき、名選手兼名監督が少なからずいるのにびっくりした。
よく知られているのは南海時代の野村克也氏で、捕手兼監督としてチームを優勝に導き、監督ながらMVP取得。ヤクルト・阪神時代からは想像もできないが。
しかしながら極めつけは、初代ミスター・タイガース藤村富美男。
1点ビハインドの9回裏2アウト満塁。監督兼選手の藤村は、審判に「代打わし」と告げて打席に入り、代打満塁逆転サヨナラホームランを打つというマンガのようなことをやってのけた。しかも現役最後のホームランという徹底ぶり。
水島新司でも恥ずかしくてこんなシチュエーションは描けまい。
「フィクションは真実より奇なり」とはよくいったものである。