心臓の毛は永久脱毛、鬼喜王子です。
初めてステージに立ったのはもう10年も昔になるが、あの頃に比べると人前に立つ、ということがそれほど緊張しなくなった。
島田晴夫という人がいる。
「世界の島田」。
マジックでハトを出す人間なら知らない人はいない、というくらいのハト出しの名手。ランス・バートン(現在ラスベガスNo.1のマジシャン)をはじめ、多くのマジシャンが島田の影響を受けている。
ある日の十二時。ステージ・ショーを5分前に控えて、僕・鬼喜王子はふと客席を覗いてみた。
どこかで見た特徴的な髪型。老けてはいるがどこかで見た顔。
「あっ! 島田晴夫じゃねえか!」
実のところ、演技的には僕は島田氏の影響はほとんど受けてないし、島田氏のテクニックも使っていない。それでもその道の大先達。一本独鈷の職人技でマジックの世界で名を成した人である。
彼の前でハトのマジックをやるというのは、三浦知良の前でカズダンス、長島茂雄の前で「ん〜、そうですね〜」とものまねをするようなものである。
さすがに緊張した。
嬉しいことに、島田氏からはお褒めと激励の言葉を頂いた。また、僕が先日のテンドー・コンベンションで優勝したこともご存知で、傲岸不遜な僕もさすがに恐縮した。
プリティ長島の気持ちがよくわかった。
「世界の島田」と