京都府出身、高砂部屋の鬼喜王子です。
久し振りにご来店頂いたお客様、アイザワさんにたたみいわしを頂いた。
僕がたたみいわしなるものが、世の中に存在することを知ったのは、まだ高校生のとき。
司馬遼太郎の『燃えよ剣』のなかで、土方歳三とその恋人おゆきが戯れているシーンでである。
司馬が書いている通り、関西にはない食べ物である。
見たことがない、知らない、目にする機会がないから、当然ながら妄想する。
ちなみに僕が実際のたたみいわしを目にするのはそれから7、8年後。
それまで僕が想像していた、たたみいわしは、イワシの蒲焼きのようなもの。
きっと畳みたいに大きくて四角い、ジューシーなものだろう、と勝手に思っていた。
初めて目にした感想。
「なんや、ただのじゃこのカタマリやんけ!」
それは恋人のふとしたしぐさで、たちまち恋が冷めて行くのに似ていた。
それに「こりゃうめぇ」ってもんじゃなかったんですね。
なんで司馬遼太郎はおゆきの好物にしたのかよくわからん。
でもアイザワさん、ごちそうさまでした。
なんだかんだいって一袋いただきました!