鬼喜王子です。
今回のゲストの一人、コスチャ・キムラット氏は弱冠23歳にして、すでに21世紀を代表するマジシャンと言われているらしい。
マジックを初めて10年。キャリアの長さは僕と一緒であるが、そのカードテクニックは天と地程の差がある。
といってもテクニックだけのマジシャンではなく、その哲学・思想もしっかりとしていて筋が一本通っている。
何より笑顔がいい奴で、気持ちのいい男である。ちょっと話しただけで、アドレスを交換する程の仲になった。
今回コスチャを呼んだのは、今「旬である」というのもあるらしいのだが、日本の同じ世代のマジシャン(まぁ僕の場合は8歳年上な訳だが)を刺激したいという目的もあったらしい。
ホントこういうのを見せられると、負けてられんなぁ、と思ってしまう。
そういえば、コンテストに16歳の大地君という少年が出場していたが、この子もすごかった。
マニアの集まりということで、コンテスタントの中には、ちょっとふざけた態度で出場している人もいたのだが、彼のマナーは完璧だった。大人の観客にからかわれることもあったのだが、堂々と礼儀正しく対応していたので感心してしまった。
今までは上の世代を追うだけでよかったが、これからは、同世代には負けないように、下の世代には見本になるように頑張っていかないといけない。
大変だ!
コスチャ・キムラット氏と。
鬼喜王子です。
スガシカオが歌っている。
♪僕の情熱も今や 流したはずの涙より 冷たくなってしまった
4月初め、十二時のリニューアルオープンを控えて一番頑張らなければいけない時期に、僕はまるでやる気を失っていた。
いや、なんとかしなくてはと思ってはいるものの、プライベートで起きた事件やその他諸々の要素が重なって、何事にたいしても情熱をもてなくなっていた。
人生に対しても覚めていたし、マジックもわかりきったつもりでいた。
そして箱根へ。
日本マジック界の大御所、マジックランドが毎年開催している規模こそ小さいものの、内容の濃さはおそらく世界一であろう「新箱根クロースアップ祭」というコンベンションに参加するためである。
毎年大物マジシャンを海外から呼び寄せているのだが、はっきり言って今年はまったく期待していなかった。
昨年(昨年の4月のブログ参照)、タマリッツという超大物を呼んだせいもあるのだろうが、今年はなんかものたりなさそうだなぁ、と完全に覚めきっていたのだが…。
完全にぶちのめされた。
僕が今までやってきたのは、マジックではないと思い知らされた。
特にスライディーニ(20世紀を代表するマジシャン)の研究家であるジーン・マツウラ氏は、研究家だからたいしたことはないだろう。退屈な話を聞かされてそれで終わりだろうと思っていたのだが、本物の魔法を見せられてしまった。
スリの世界でいうところの「ゲンノマエ」(目の前で堂々と秘密の動作をやっているにも関わらず気付かれないこと、詳しくは浅田次郎氏の『天切り松闇語り』参照)をやられてしまった。
「あなたがやりたいのは、こういうことでしょう?」 ハイ、まったくその通りです!
ジーンさんの演技もよかったんですけど、彼のスライディーニに対する愛情と情熱にも心震わされました。
「愛はすべての成功への鍵」というのは本当ですな。
23歳の新鋭コスチャ・キムラットとの話はまた次回に。
ジーン・マツウラ氏と。相変わらず写真写りが悪いなぁ、オレ。