鬼喜王子です。
僕には1年の中で特に何かの記念日ではないのだが、印象に残っている日というのが何日かあって、8月6日はそんな日の一つだ。
言うまでもなくこの日は61年前に広島に原子爆弾が投下された日であるが、それとは関係なく、僕にとってこの日は毎年「暑くて静かな夏の日」なのである。
小学生のときの夏休みの登校日、中学生の時の部活(ちなみにバレー部だった)、受験勉強をしていた高校生のとき、昼まで寝ていて暑さで起きた大学生のとき、バイクの一発試験を受けに行ったときの府中の試験場の待合室。
いつのときも、空は真っ青に晴れ渡り、太陽はギラギラしてうだるように暑く、ミンミンゼミがうるさいほど鳴いているにもかかわらず街は静まりかえっていた。「岩にしみいる蝉の声」とはよくいったものである。
先ほど原爆の投下は関係ないといったが、ひょっとするとあの灼熱地獄がこの暑さを作り出し、そのときに失われた多くの命がこの静寂を作りだしているのかもしれない。あるいはその日の朝も暑かったというから、天がその日を毎年再現させているのであろうか?
ともあれ、夏の喧騒の中に静けさを感じるこの日、夏の終わりを予感して、毎年僕は少し寂しい気分になる。