ご無沙汰しておりました、白龍王子です。
最近身の回りが「水木しげる」づいていましてな、妖怪というものに興味をそそられています。
妖怪というのは、自然現象や身の回りのちょっとした怪異をうまく説明した体系と言えなくもありません。
「school」という言葉の語源になった「スコラ」というのは「暇」という意味なことからもわかるように、あれこれと考えるのは時間に余裕がある人々の特権でありまして、日々の生活に忙しい人は、例えばなぜ稲妻が起きるのか、ということをとことん突き詰めている暇などないのであります。雲の中に「カミナリさま」が住んでいてそれが稲妻を起こすことにしてしまう、またそれでうまく機能してなんら支障がないからOKなのであります。
凧を飛ばして「稲妻は電気だ!」というのを突き止めるのは、なかなか日々の生活を心配している人にはできないことです。
ちなみに「科学で証明できないから、神様とか妖怪とか霊はウソだ」という人がいますが、もともと全然別の説明体系だから証明できないのは当たり前でありまして、例えば定規で重さを測ろうとしているようなもので、大変ナンセンスな話です。
結局人間は余裕があるときは考えますが、余裕がないと一番ラクな考え方をしようとします。マジックというのはまさにこれに依存しています。
例えば握っているコインが消えた、とします。考える余裕があると、どこにいったんだろう、隠し持っているに違いない、とか考えますが、大変鮮やかな消え方をしたり、隠し持っている可能性をなくしてから消したりすると、コインが本当に「消えた」と考えるのがラクなわけです。考えるのがめんどくさくなってくるのです。
あとはとことんエンターテイメントして楽しむのに忙しくさせて、考える隙を与えない。「考えないほうがラクだよ」という方向にどんどん誘導していくわけです。
(これを悪用すると催眠療法とか振込み詐欺になってしまうのですが)
だから、マジックをやっていて「なんで!?」とか言われるのは、まだまだ未熟な証拠でありまして、「なんで」ということを考えさせなくしてこそ一流なのでしょう。
Mr.マリックはかつて「毒薬をある人の体内に移動させてほしい」という依頼を受けたらしいですが(笑)。